電磁的作品製作記録

製作活動の記録です

コイルガン五号機が完成

タイトルの通りですが,実はこれ3月には完成していました。マガジンの改良やプログラムの更新,弾速の測定などをしているうちに時間がたち,記事・動画作成を忘れていました。

コイルガン五号機

動画作成する際に撮りなおした写真です。部屋を暗くしたり照明当てたりしてうまく映るようにしたのですが,やはり3Dプリンターの積層方向の違いによる色むらが出てしまいます。

動画編集してアップロードしたものが以下2つ。中学で物理部に入部した頃(約3年前)は動画を見て楽しむ側の人間でしたが,これでついに私は動画を上げる側の人間になりました。

www.nicovideo.jp

www.youtube.com

 

<スペック>

重量:      1965g(電池なし)

全長:      440mm

幅:       40mm

高さ:      146mm

電源:      LiPo(16.8V/1600mAh のものを2直列)

弾速:      23m/s

威力:      4J

効率:      悪い(入力エネルギー測定ができていない)

射程:      10m?

機能:      単射・連射

連射サイクル:  毎秒16発

マガジン装填数: 8発

弾重量:     15g

弾形状:     直径10mm*長さ25mm(平行ピン)

弾素材:     炭素鋼(S45C)

 

<製作期間>

2021.11.12 ~ 2022.3.15(約4か月)

五号機の構想は10月頃から始まっていましたが,今回完成したものの原型となる設計になったのが11/12だったはずです。その後に多少の変更はありましたが,バッテリー給電の16段式というのは固定したままでした。

 

<製作費用>

約40000円(部品代のみ,資金源は物理部の部費)

予想以上にコストがかかりました。

コイルスイッチング用のMOSFETやゲートドライバ等をLCSCで追加購入しただけでも追加10000円くらいかかったと思います。1USD≒150JPYまで円安が進んでいない頃だったのは不幸中の幸い。

 

<使用感>

〇 小型で表面の凹凸がなく,グリップ形状が手になじむ形なので持ちやすい。

〇 発射音がないので,レールガン発射時のように耳をふさぐ必要がない。

× 弾詰まりが多すぎる。マガジンの装填弾数が少ないとバネの力が弱くて弾が押し出されないことがある。

× 弾を前に押し出すコネクタ部分が摩耗して,段々と使えなくなってくる。

× バッテリーを固定する機構がうまくできず,時々バッテリーが抜け落ちる。

→ストッパーを改良してある程度固定できるようになりました。

× セーフティーがないので,間違ってトリガーを引いて暴発することがあった。

→セーフティースイッチを後から追加しました。

 

<感想>

おおむね満足しているのですが,機械的な部分の設計不良が多すぎて使いにくいです。

あと,予想はしていましたが段数多い割には威力がありません。コイルサージを回収しないで流し続ける回路なので,引き戻しによる損失が大きいと思われます。

ただ小型化という第一の目標を達成するためには,回路を単純化するしかありませんでした。狭いアルミチャンネルの中に素子と銅バーを全て詰め込んだのでメンテナンス性が悪すぎますが,全体の小型化に大きく貢献しています。

配線前

配線中

素子取り付け完了

銅バーの挿入

銅バーと素子接続

写真のアルミチャンネルの穴あけ加工,タップ加工,あと素子の配線や丸形裸端子の取り付けが一番大変な作業でした。段数が多い分,作業量が多かったです。

冬休みや正月は自分の部屋にこもり,学校から持ち帰った非常食を食べて腹を満たしながら切削作業をしていました。

詳しい人なら,コイルガンを発展させると昇圧チョッパや回生回路などを使うイメージがあるかもしれませんが,五号機は電気回路部分の進歩が一切ありません。しかもLiPoからの直接給電なので,回路は極めて単純です。

今回のコイルガン製作の目標は

・小型で持ちやすい

・かっこいいデザイン

・毎秒10発以上の連射機能を持たせる

・必ず完成させて動作させる

の四つだったので,機械的な部分の改良ばかりでした。不具合は多いですが,とりあえず目標は達成できました。

三号機と四号機の製作は途中で断念しているので,完成しただけでも十分満足です。

以上でなんとか完成報告ができました。ここまで読んでくださりありがとうございます。

 

<おまけ:NG集>

強く巻きすぎて壊れたコイルモジュール

異常に加熱されて絶縁被膜が溶け落ちたコイル

溶けたコイルモジュール

ミスでショートさせたLiPo端子,目下の眩しいアークで気づいた